マサチューセッツ州ケンブリッジの著名な学術機関で発生した旧時代壁画汚損事件を受け、国内各地で過去の公的芸術作品に対する論争が激化している。学生団体や一部市民グループは、1950年代から70年代にかけて制作された公共の記念碑や壁画、彫刻を「虚偽の過去の象徴」あるいは「現状停滞の表れ」と批判し、撤去や改変を求める活動を活発化させている。
ケンブリッジでの事件以降、ペンシルベニア州フィラデルフィアやイリノイ州シカゴの大学施設、またミシガン州デトロイトの公共広場など、複数の都市で同様の抗議行動が確認されている。これらの行動は、主として戦後の
経済的繁栄と国家の力を強調する、いわゆる「
アメリカン・リアリズム」様式の作品を標的としており、多くの場合、塗料による汚損や抗議文の貼り付けといった手法が用いられている。
連邦文化遺産保護局は事態を憂慮し、各州の文化委員会に対し、歴史的価値を持つ芸術作品の保護を強化するよう通達した。しかし、これらの作品の多くが老朽化した
インフラや経済停滞の象徴と見なされている現状もあり、政府や地方自治体は対応に苦慮している。国民の間では、過去の栄光を保持すべきとする保守派と、現実と向き合い新たな文化を求める若年層との間で意見が二分されており、
社会不安を増幅させる一因となっている。この論争は、長らく続く国内の経済的停滞と、未来への展望の欠如を背景に、文化的な領域で表面化したものと分析されている。